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UNDERGROUND ロードトリップツアー 1  written by Daisuke Miyajima.

マリブの家を出発して15分、車の中で叫んだのはプールスケータのToddだった。「あああーーー   財布が無いぃー!!」ボクと、オーナーであり今回のツアー企画、実行、運転、隊長の全てを担うWalterは顔を見合わせて、これから始まる長い旅が、いかに過酷なものになるのか改めて覚悟した。

気を取り直して再出発、しかしハプニングはまたもや、最初に拾う筈のMarkの家に着いたときに起きた。15歳のMarkをこのツアーに行かせたくないとの一点張りをしている彼の母親の横でWalterが困った顔をして立ち往生しているのだ。どうやらMarkは何故か母親に2週間のアメリカ南部、スケートデモツアーに参加する事を今日の朝に告げたらしい。 15歳の息子がいきなり、朝そんな事をいいだして家を飛び出そうとしていれば、どんな親だって反対するだろう。

なんとかMarkの母親を説得して、残り二人のメンバーRaulとRichardを問題なく拾った。これでメンバーはテキサスに直接飛行機で向かうRandy以外は全員揃った。マリブの家を朝の6時に出たにも関らず、いきなりの問題続きで、今回のツアーの最初の目的地のアリゾナ州アパッチジャンクションに向けてLAを出発した時はもうお昼近くなっていたがこれから起こる沢山のハプニングの序章に過ぎない事をこの時は誰も知らない。

一応このツアーはUNDERGROUNDのWHEELを扱ってくれているお店やパークにいき、ローカルのスケーター達と滑ると言う目的で行われている、いわば挨拶回りだ。アメリカ南部を中心にカリフォルニアをでて、アリゾナ→テキサス→アーカンソー→テネシー→アラバマ→ルイジアナ。それぞれの地区でデモがあるようだ。ただ通過するだけの州としてニューメキシコとオクラホマがある事も忘れてはいけない。

カリフォルニアをでて車でだだっ広い平野を走る事6時間、この辺りはかなり乾燥して雨も降らない様な地域なので、景色は砂漠の様な砂色一色、最初のデモが行われる予定になっているアパッチジャンクションに到着。最近山形寒河江に出来たパークよりも少しでかいくらいの、コンクリートスケートパークを目の前にして、メンバーはそれぞれ、アーでもないコーでもないとパークの評論を始める。あのバンクが嫌いとか、セクションが全体的に小さいとか、文句をいうメンバーもいたがこんなのが日本にもしあったら、皆こぞって来るだろうとボクは確信していた。

翌朝、モーテルのベッドで目覚めて周りをみると、服は散らばり、床で寝ている奴発見、ビールの空き缶数十本、部屋全体に広がる汗の匂いで昨晩のどんちゃん騒ぎを思い出す。今日はテキサスに行く日だ、もう既に起きていた隊長のWalterと話しをしていてボクはいきなり叫んだ。「じゅ、16時間ーー!?」「言わなかったっけ?」テキサスまでの移動時間だった。

日本からLAに来るのに9時間飛行機の中にいたが、それの2倍近くの時間を車の中で過ごすというのは、一体どんな過酷な物になるのだろうか?助手席の取り合いになる事はマチガイないだろうと予想した。

「ショッガンッ!!(ショットガン)」朝飯を食べ終わった後に大声を出したのはライダーの中では最年長、メキシカンのRaulだった。アメリカでは車に乗る前にこう叫んだ奴が助手席に座れるという謎の決まりがある、タイミングが重要なのだ。そして次に来るのは「ウィンドーウ!!」「ウィンドーウ!!」後部座席の窓側の事だ、反応が遅れて何も言えなかった奴は自動的に真ん中の窮屈な座席に座る事になる。因にこの席には ビッチ というどうしようもない奴って意味の名称がつく。くだらない子供の遊びみたいなシステムだが、流石に16時間となるとビッチは辛いの皆真剣なのが面白い。

アリゾナからテキサスに行く間にはニューメキシコを通過しなければならない、景色は何もない砂漠から、だんだんとサボテンが現れ始め、遠くに見えていた山がドンドン遠くな。テキサスには山が全くないと聞いた。360度見渡しても山など一つもなく、完全なフラットになった時にはもう暗くなっていた。

テキサス西部で少し車をとめて休む事にした。空を見上げた。驚いた。

そこには宇宙そのものが写っていたのだった。あり得ない数の星、星、星、小さな星群がうねりをみせながら、空に走っている、あれは日本では天の川と呼ばれているものだろうか?唯一ボクが知っているリボン型のオリオン座を探したがそれは見当たらなかった。しかしこの景色は一体??聞いてみるとテキサスというのは実は平地なのだが、標高がかなり高いらしく、どでかい山の頂上にいるようなものらしい。なるほど、僕たちはいつもより星に近い場所にいたのか。そして東京のようなネオンや建物もどこにもないこの真っ暗な環境がさらに星の光を強くしていたのだった。

夜中の1時、遂に目的地のオースティンのMimiという女の子の家についた。ここではボクらを歓迎したパーティーをしてくれていて、飯、酒、音、人、と全てが用意されていて、時間はあっという間に過ぎて、寝たのは朝だった。  ロードトリップツアー 2へ

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